発電量ナビ

発電量ナビ♪ではバイオマス発電の発電方法の仕組みと原理、長所と短所についてイラスト図解付きで入門者向きにわかりやすく解説しております。

◆バイオマス発電の発電量・メリット・デメリットの解説(もくじ)

◆バイオマス発電とは?

 バイオマスエネルギーを利用するバイオマス発電は、生物(主に植物)の生体活動から生まれるエネルギーを活用する再生可能エネルギーの一種じゃ。

 バイオマスのバイオとは「生物」を意味する言葉でマスとは「量」を意味する。この事からも生物を燃料資源とするエネルギーであることが解るのぉ。

 21世紀に入りバイオ燃料への注目度は日に日に増してきておるが、我々人間は実は昔からこのバイオ燃料を上手に活用してきた歴史がある。

 例えば、家畜の食料となる草原地域を移動しながら生活する遊牧民の多くは、昔から家畜の糞を集めて天日に干し、乾燥させた糞を燃料として利用しておった。

 また、現在の日本ではあまり見かける事が少なくなってはきたが、暖炉では薪木を燃やして暖をとるが、この薪は「木」を燃料としておる事からバイオ燃料であると言えるのぉ。

バイオ燃料とは?(図)

 このように植物や動物の糞など生体活動から生じるバイオエネルギー資源を活用して発電を行う仕組みを備えた発電設備がバイオマス発電所と言う訳じゃ。

◆バイオマス発電の資源の種類・発電方法

 バイオマス発電による発電方法は、火力発電とまったく同じ原理で高温の蒸気を利用してタービン発電機を稼動させることで電気を産み出す仕組みとなっておる。

 火力発電では主に石炭等の化石燃料を利用するがバイオマス発電ではバイオ燃料を使用し水を温めて発電機を回すための高温の蒸気を作り出しておる。

 その為、バイオマス発電ではバイオ燃料を燃やす際にCO2を確実に排出する点を把握しておく必要があるのぉ。

 尚、バイオマス発電に利用されるバイオ燃料の元となる資源には以下の様な資源が挙げられる。

【バイオマス発電の資源】
番号資源の種類内容
木質・建築廃材製材等から出る不要な木材や建築廃材。木質バイオマス発電に利用される。
食品廃棄物・生活廃棄物食品工場等の食品加工時に出る廃棄物、一般家庭の生ゴミ等。
農業・畜産農作物の麦わらやもみ殻、サトウキビ、家畜の糞尿など。

◆日本のバイオマス発電所の発電量

 日本のバイオマス発電の普及はゆっくりながら年々確実にエネルギー生産量が増大してきておる。

 尚、日本全国のバイオマス発電所によって作りだされた電気の発電量は、日本で使用する総電力の約1%程度となっておる。

 一つのバイオマス発電所が作り出す発電量は他の再生可能エネルギーの発電所と比較すると小規模な設備が多く、100kw程度の小規模発電所が9割近くを占め、やや大型の設備でも1000kw~2000kw内のバイオマス発電所が多くなっておるのじゃ。

※バイオマス発電による発電量は日本の総発電量の1%程度を占める

◆バイオマス発電の利点・2大メリットについて

 バイオマス発電のメリットは大きく2つのメリットを挙げることが出来るじゃろう。

 まず一つ目のバイオマス発電のメリットは、資源の有効活用が可能になるという点じゃ。

 前述したようにバイオマス発電のエネルギー資源となるバイオ燃料の材料は、農作物の廃棄物や建築資材の廃材など本来廃棄されていた廃棄物を活用して発電を行うことが可能じゃ。

 このように限りある資源を残さず利用できるバイオマス発電では資源の有効活用が可能となる利点があることがわかるのぉ。

 そして2つ目のバイオマス発電のメリットは、環境面に負担をかけない地球にやさしいエネルギーであるという点じゃ。

 バイオマス発電に利用されるバイオ燃料は実際に燃料として利用する際に二酸化炭素を排出するのじゃが、この排出する二酸化炭素は植物が光合成を行う際に取り込んだ分の二酸化炭素しか放出しない。

 その為、大気中の全体の二酸化炭素量はバイオ燃料をエネルギーとして活用してもトータルの二酸化炭素量は増加しないという訳じゃな。

 このように燃料としての使用時だけでなく、植物が取り込む二酸化炭素量を考慮しトータル的に二酸化炭素排出量がゼロとなる燃料をカーボンニュートラルと呼んでおるのじゃ。

バイオマス発電の2大メリット(図)

◆バイオマス発電のデメリット

 バイオマス発電はメリットばかりが感じられるがデメリットや抱える問題点も多いのじゃ。

 ここではバイオマス発電のデメリットを大きく2つに分類して考えて見ることにしよう。

【バイオマス発電のデメリット】
①カーボンニュートラルの問題
②自然破壊の問題

 ①のカーボンニュートラルの問題とは前項のバイオマス発電の2大メリットの項で解説したカーボンニュートラルに関して植物だけでなく発電所の建設から電力の供給に至るまでのトータル的なCO2排出量を考慮したケースでの問題じゃ。

 バイオマス発電によって発電を行うには発電所の建設や建築資材に関わる資材の運搬、送電線の設置や開発工事などの課程で大量の二酸化炭素を放出することになる。

 その為、大気中全体のベースで考えた場合にバイオマス発電所の建設が続くと、やはり大気中のトータル的な二酸化炭素量は多くなる可能性を持つという問題点じゃ。

 続いて②の自然破壊の問題については、バイオマス発電に利用するバイオ燃料の原料となる農作物を作る為に森林を開拓する等、結果的に環境破壊が進む可能性があるという問題点じゃ。

 また、バイオ燃料の需要があまりにも大きくなると今まで野菜類などの農作物を育てていた農家がバイオ燃料用の農作物の生産に切り替えてしまう可能性もあり、結果的に食物が不足し食べ物の価格高騰を招く要因となる可能性もある。

バイオマス発電のデメリット・問題点(図)

 バイオマス発電で利用したバイオ燃料から排出されたCO2は新たに植物を育ててカーボンニュートラルとする必要がある為、完全なカーボンニュートラルを実現することは非常に難しい問題でもあるのじゃな。