原子力エネルギーを利用する原子力発電は、原子核が核分裂を起こす際に発生する熱エネルギーを活用する発電の事じゃ。
原子力エネルギーの燃料として使用されている物質はウラン元素の同位体である「ウラン235」と呼ばれる物質で自然界に存在するウランの約0.7%程度が原子力エネルギーに活用が可能なウラン235が含有されておる。
原子力発電所で利用される核燃料は、このウラン235の濃度を核燃料用に約3~5%程度にまで凝縮させた燃料を利用しておるのじゃよ。
このウラン235の濃度を凝縮した核燃料は円柱型に焼き固められ「燃料ペレット」として金属製の燃料被覆管に密封して使用される。
密封された燃料被覆管内ではウラン235の核分裂が連続で発生(核分裂連鎖反応)し、莫大なエネルギーを産み出す事ができるという訳じゃ。
原子力発電による発電方法は、火力発電とまったく同じ原理で原子炉の核分裂によって発生した高温の蒸気を利用してタービン発電機を稼動させることで電気を産み出す仕組みとなっておる。
火力発電では主に石炭等の化石燃料を利用しておるが原子力発電ではウラン235を焼き固めた燃料ペレットを使用し水を温めて発電機を回すための高温の蒸気を作り出しておる訳じゃ。
その為、火力発電やバイオマス発電では燃料を燃やす際にCO2を確実に排出するが、原子力発電では核分裂の際に発生するエネルギーを活用しておる為、燃料を燃やす必要が一切ない。
これは電力を産み出す際に二酸化炭素を排出しない事を意味しており、原子力発電の最大のポイントでもあると言えるじゃろう。
日本の電力発電量の大半を占めるのは火力発電が主力であったが、化石資源が少ない島国である日本では燃料危機などに直面した経験を踏まえて原子力発電の発電割合を少しずつ高めてきた背景がある。
これは国内の4分3もの高い割合にのぼる発電を火力発電に頼っていた1970年代を振り返ってみると年々、原子力発電による発電量割合が増加してきている事からもわかるのぉ。
2011年の深刻な原発事故としてレベル7に位置づけられた福島原発事故の発生。
この原発事故以降、活動中の原子力発電所は徐々に減少していったが原子力発電による発電量の割合は一時約30%にまで登った経緯がある事もまた事実なのじゃ。
これは日本が原子力発電に大きく依存しておる証であるとも言えるのぉ。
福島原発のメルトダウン事故以降は多くの発電所が一時的に運転の停止・閉鎖に至った経緯もあるが、日本はやはり原子力発電に大きく依存してしまう国家なのじゃな。
尚、日本の原子力発電所の所在地と電力会社の一覧を以下にまとめておくのでチェックしておくことじゃ。
【日本の原子力発電所】 | |||
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番号 | 原子力発電所 | 所在地 | 電力会社・管理機関 |
01 | 泊原発 | 北海道泊村 | 北海道電力 |
02 | 大間原発 | 青森県大間町 | 電源開発 |
03 | 東通原発 | 青森県東通村 | 東北電力・東京電力 |
04 | 女川原発 | 宮城県女川町 | 東北電力 |
05 | 浪江・小高原発 | 福島県南相馬市 | 東北電力 |
06 | 福島第一原発 | 福島県大熊町 | 東京電力 |
07 | 福島第二原発 | 福島県双葉郡楢葉町 | 東京電力 |
08 | 柏崎刈羽原発 | 新潟県柏崎市 | 東京電力 |
09 | 東海原発 | 茨城県東海村 | 日本原子力発電 |
10 | 志賀原発 | 石川県志賀市 | 北陸電力 |
11 | 浜岡原発 | 静岡県御前崎市 | 中部電力 |
12 | ふげん原発 | 福井県敦賀市 | 日本原子力研究開発機構 |
13 | 敦賀原発 | 福井県敦賀市 | 日本原子力発電 |
14 | もんじゅ | 福井県敦賀市 | 日本原子力研究開発機構 |
15 | 美浜原発 | 福井県美浜市 | 関西電力 |
16 | 大飯原発 | 福井県大飯市 | 関西電力 |
17 | 高浜原発 | 福井県高浜市 | 関西電力 |
18 | 島根原発 | 島根県松江市 | 中国電力 |
19 | 上関原発 | 山口県上関町 | 中国電力 |
20 | 伊方原発 | 愛媛県伊方市 | 四国電力 |
21 | 玄海原発 | 佐賀県玄海市 | 九州電力 |
22 | 川内原発 | 鹿児島県薩摩川市 | 九州電力 |
現在、国内の原子力発電割合が最も高い割合を占めておる国はフランスじゃ。
フランスは国内の総発電量の75%以上を原子力発電で発電しておる事からも原発への依存性は日本よりも更に高い国であることがわかるのぉ。
フランスは原子力発電に関して政府が積極的に導入を進めてきた背景もあり、ここまでの原発割合を誇る国家となったのじゃ。
原子力発電の利点は大きくまとめると3つのメリットを挙げることが出来るじゃろう。
まず一つ目の原子力発電のメリットは、発電を行う際に二酸化炭素を排出しないという地球温暖化問題に大きく影響を及ぼす発電方法であるという点じゃ。
多くの発電システムが二酸化炭素を発生させながら発電を行なっておる訳じゃが、原子力発電ではこのCO2排出問題を大きく改善する可能性を持つ発電方法となっておる。
続いてエネルギー効率による利点は、ごく少量のウラン燃料で大量の電力を作り出すことができる燃料効率の高さを挙げることができる。
原子力発電ではウラン235を代表とする核燃料の核分裂の際にとても大きなエネルギーを産み出すことが可能となるため、これは経済的にも効率が良い発電方法であると言えるじゃろう。
そして、最後のメリットは使用済み燃料の再利用が可能となる点じゃ。
原子力発電では一度使用したウランを再利用できるため、燃料としての経済性に優れているという点は見逃す事のできない大きな利点であると言えるじゃろう。
原子力発電の最大の欠点・問題点は、事故が発生してしまった場合のリスクがあまりにも高いという点にある。
二酸化炭素を排出しないなど、環境面に関しては大きなメリットばかりに見える原子力発電じゃが、現実的にはもし事故が発生してしまった場合の環境面に関するリスクは他の発電システムと比べ物にならないほどの大きなデメリットが存在することになる。
また核燃料となるウラン235は限りある地下資源でもあることから、このままウラン235を使用していった場合は将来的にウランが枯渇する危険性を持っておる事になる。